日付: | 29 Jan 2024 |
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香港の新界北部にある「沙頭角(Sha Tau Kok)」は、 「広東省深圳市塩田区(深圳市盐田区 / Yantian District)」のすぐ隣に位置し、中国本土との境界線の緩衝地帯として 1951年に「境界付近立入禁止区域(邊境禁區 / Frontier Closed Area)」に指定されました。 それから50年以上もの間、「沙頭角」は住民以外の立ち入りが制限され、 居住者以外がここを訪問するには許可証を取得し、 さらに住民からの保証を取り付けなければなりませんでした。
2022年6月からこの「沙頭角」が徐々に開放され、 今では香港の人たちが週末に行く人気のスポットになってきています。 外国人観光客も訪れることができるようになったため、 半世紀以上にわたって閉ざされていたこのエリアをご紹介しようと思います。 パッケージやオプショナルツアー、アカデミックな学習ツアーの企画・造成にお役立てください。
「沙頭角開放計画(沙頭角開放計劃)」は2022年6月から段階的にスタート。 土日祝限定で1日200名のみ受け入れていた訪問者数の制限が、 毎日1,000名(団体<ローカルツアー参加者>700名+個人客300名)へと大幅に緩和され、 ここならではのどかな風景やユニークなスポット、ローカルグルメがお楽しみいただけるようになっています。
沙頭角への訪問は、ローカルツアーに参加する、 または個人客用のオンライン事前申請をする(費用無料)のいずれかの方法でOK。 会社やツアーの情報をオンライン登録すれば、旅行会社でのツアー催行も可能です。 御社独自のツアー企画をしたい場合には現地ランドオペレーター各社へ相談してみましょう!
沙頭角開放計画(第二段階) ●2024年1月1日より、1日最大1,000名(団体<ローカルツアー参加者>700名+個人客300名)が 許可証「ツーリズム・クローズド・エリア・パーミット(旅遊禁區證 / Tourism Closed Area Permit)」を取得し、 沙頭角を訪問することができます。 ●個人客の方は沙頭角まで公共交通手段をご利用ください。(自家用車やレンタカーでの訪問は不可) ●開放区域: 沙頭角(中英街<Chung Ying Street>を除く) ●開放時間: 毎日7時から21時まで
ツーリズム・クローズド・エリア・パーミット(旅遊禁區證)の申請 2023年12月1日から、海外からの旅行者も香港在住者も「香港警察(香港警務處)」のホームページ上で 沙頭角への訪問許可証「ツーリズム・クローズド・エリア・パーミット(旅遊禁區證 / Tourism Closed Area Permit)」の 申請が行えるようになりました。 申請は訪問の3営業日前までで、先着順での受付となります。 毎月1日に翌月分の申請受付を開始し、費用は無料となっています。 認可旅行会社主催のローカルツアーに団体として参加する場合、 許可証申請は主催会社が代行し、参加者個々の申請は不要となります。 申請はこちら(英語) 注)個人客の方は「Tourism Closed Area Permit (T-CAP) – Individual」を申請してください。
【動画】許可証申請方法の説明(英語・中国語)
さて、概要や許可証のご説明をしたところで、ここからは沙頭角の魅力をご紹介しましょう。 そもそも「沙頭角」という地名は 「砂浜(沙頭)から日が登り、岬(海角)に月がかかる<日出沙頭,月懸海角>」という 美しい句から名付けられています。 訪れる際にはこれからご紹介する観光スポット、ローカルグルメ、文化体験の各10選をチェックして、 街の歴史や独特の風情を満喫してください。 黄色ハイライト部分のリンクをクリックすると、英文によるより詳しい情報がご覧いただけます。
沙頭角のお勧め観光スポット10選 Image courtesy of the Security Bureau ①沙頭角岬(Cape of Sha Tau Kok / 沙頭角之角)<左> 清朝の大臣が書いたとされる「日出沙頭,月懸海角」という句の石碑もこちらに。 ②沙頭角フェリー・ピア(Sha Tau Kok Pier / 沙頭角碼頭)<右> 1960年代に造られ、2004年に再開発されたこのピアは280mという香港一の長さ。
③日月亭(Sun and Moon Pavilion / 日月亭)<左> 湾の角に位置する「日月亭」は景色を眺めるのにベストスポット。 ④フィッシュ・ランタン広場(Fish Lantern Square / 魚燈廣場)<右> 魚型の提灯を持った、香港特別行政区政府レジャー&文化事務署のゆるキャラがお出迎え。
⑤旧沙頭角消防署(Old Sha Tau Kok Fire Station / 沙頭角舊消防局)<左> 1962年から2004年まで使用されていた旧消防署。 ⑥中英街ガーデン(Chung Ying Street Garden / 中英街花園)<右> 中国の改革開放初期は需要の高まりを受け、中英街に中国向けの商店が数多く開店。
⑦水産乾物街(Dried Seafood Street / 沙頭角「海味街」)<左> 住民向けに生鮮食品や調理済食品、水産乾物などのお店が集まる。お土産探しにも是非。 ⑧順平街ウォールアート(Shun Ping Street Murals / 順平壁畫街)<右> 旧消防署近くにある順平街には、沙頭角の伝統的な祭りを描いたストリートアートも。
⑨サーモン・ハウス(Salmon House / 三文魚屋)<左> 先住民用に1988年に第一期分が建築された建物。サーモンピンク色をしているのでこの通称に。 ⑩沙頭角海(Starling Inlet — the Mirror in the Sea / 沙頭角鏡中鏡)<右> 台風時の漁船避難所として使っていたが、1962年の大型台風でほとんどの漁船が倒壊。現在は小型漁船が停泊している。
沙頭角のお勧めグルメ10選 Image courtesy of the Security Bureau ①揚げ大根餅(Deep-fried Shredded Radish Cake / 懷舊炸油糍)<左> 揚げ大根餅は昔ながらの客家料理の一つ。香港の市街地ではほとんど見かけなくなった懐かしの味です。 ②客家式豚肉の蒸しもの 発酵黒豆ソース仕立て(Hakka-style Pork Bowl / 豆豉炆豬肉缽)<右> 昔々客家の既婚女性は旧正月に両親やご近所へこの料理を配っていたそう。何時間もかけて蒸す豚肉は口の中でとろけるほど。
③牡蠣オムレツと卵麺(Fried Oyster Cake with Noodles / 香煎蠔餅麵)<左> いろんな種類の麺を楽しむ香港でも、牡蠣オムレツと卵麺(撈麵)の組み合わせはとてもユニーク。 ④イカのすり身の卵巻き(Cuttlefish Omelette Roll-ups / 香煎墨魚餅)<右> 香港でイカのすり身といえば、普通は平らな形。沙頭角では卵焼きと一緒に巻いた一品になっています。
⑤高菜入りチキンライス(Marinated Chicken with Rice / 特色咸菜雞飯)<左> 鶏肉を客家の漬物と調理することで旨味が格段にアップ!柔らかな肉と艶やかな鳥皮は見ただけで絶対に美味しいと確信! ⑥スイート冬瓜餡のパイ(Sha Tau Kok Sweetheart Cake / 沙頭角老婆餅)<右> 香港で「老婆」とは「奥さん」の意味。ほんのり甘い冬瓜の餡が何層にも折り重なったパイ生地の中に入っています。
⑦手作り健康ドリンク(Homemade Health Tonics / 手沖清熱飲品)<左> はちみつ漬けレモン、梅はちみつ、自家製菊花茶など、様々な健康ドリンクが揃っています。 ⑧コーンビーフと卵入りパイナップルパン<ミルクティー付>(Pineapple Bun with Corned Beef and Fried Eggs / 咸牛肉煎蛋菠蘿包)<右> パイナップルパン(菠蘿包)はクッキー生地が付いた菓子パン。ここではコーンビーフと卵を挟み、甘さとしょっぱさが癖になる一品に。
⑨手ごねビーフのチーズバーガー(Cheese Burger with Handmade Beef Patty / 手打牛肉芝士漢堡)<左> 沙頭角にも手ごねビーフのグルメバーガーが!料理が届いたら、熱いうちに召し上がれ。 ⑩沙頭角フローズンドリンク(Sha Tau Kok Shaved Ice Drinks / 沙頭角沙冰)<右> 暑い季節の沙頭角散策なら、是非この冷たいドリンクをお供に。ヨーグルトや様々な果物を使った豊富なフレーバーが楽しめます。
沙頭角のお勧め文化体験10選 Image courtesy of the Security Bureau
①塩寮吓村天后廟(Tin Hau Temple at Yim Liu Ha Tsuen / 鹽寮吓村天后廟)<左> 広東省の汕頭、掲陽、汕尾の漁民が沙頭角の塩寮吓村へ移り住んできたのは1898年頃。 航海や漁業の神、媽祖を祀ったこの天后廟は清朝初期の創建と言われています。 ②担水坑天后宮(Tin Hau Temple at Tam Shui Hang / 担水坑天后宮)<右> 清朝初期、客家の人々が沙欄吓村(現在の中英街)に天后廟を建築。 その後、廟は壊されてしまいましたが、天后像は菜園角村に移されてこの天后宮に祀られています。
③沙頭角山咀協天宮(Hip Tin Temple at Shan Tsui / 沙頭角山咀協天宮)<左> 協天宮の前身は、中国の武将、関羽を神格化した「関帝」を祀った「関帝廟」。 清朝の1894~1895年に廟は再建され、「協天宮」に改名されました。 ④順興街の福祥象(Auspicious Elephants at Shun Hing Street / 順興街「福祥象」)<右> 「象」と「祥」の発音が似ていることなどから、中国文化において象は幸運と富の象徴。 中英街交番側の順興街の公共住宅入口には一対の福祥象がいるのでお見逃しなく。
⑤新楼街(San Lau Street / 沙頭角新樓街)<左> 20世紀初頭、広東全体に中国と西洋の建築様式を合わせた「騎楼」が流行。 新楼街には、香港では数少なくなったこの広州式「騎楼」が良好な状態で保全されています。 ⑥陸上ドラゴンボート・パレード(On-Land Dragon Boat Parade / 陸上龍舟)<右> 水上生活をしていた閩南人の伝統的な婚礼では花婿の女性親族がドラゴンボートを漕いで花嫁を迎えに。 時が経って陸に住むようになり、ドラゴンボートの慣習も陸上で行うように。
⑦旧式のストリート名標識(Old Street Signs / 碩果僅存特色舊路牌)<左> 20世紀初めに導入されたT字型のストリート名標識は1960年代に入って製造中止に。 香港全体で80個以下になった今も、沙頭角には3個の旧式の標識が残っています。 注)中国語名の方が文字数が少ないため、旧式標識では上部の英語名の方が横に長く、下部の中国語は文字数に合わせた短い幅となっているT字型となっていました。 1961年以降に製造したものは全て長方形になっています。 ⑧沙頭角の米通(ミートン)おこし(Rice Crackers Tasting / 沙頭角「米通」)<右> 沙頭角に住む閩南人の女性たちは旧正月の大晦日に薪のストーブでこの「米通(ミートン)」と呼ばれるおこしを作っていました。 訪れた際には是非この伝統菓子をお試しを。
⑨客家のもち米伝統菓子「茶粿」(Cha Kwo Tasting / 茶粿)<左> 「茶粿」は、もち米で作った客家の伝統菓子。 沙頭角にはこれに薬草の「ヘクソカズラ」を加えた「ハーブ入り茶粿(Chinese fevervine cha kwo / 雞屎藤茶粿)」もあります。 ⑩魚型の絵馬「幸せの小さな魚」(The ‘Wish Fish’ / 幸福小魚)<右> 以前は漁村だった沙頭角。フェリー・ピア入口にある自動販売機では魚型の絵馬「幸せの小さな魚」が購入できます。 願い事を書いて所定の場所に吊るし、願掛けをしてみませんか?
沙頭角へのアクセス方法 個人客の方は下記いずれかの方法で沙頭角へ。 ① MTR上水駅(Sheung Shui Station)またはMTR粉嶺駅(Fanling Station)から78Sバス(特快)か78Kバスに乗車 ② MTR上水駅(Sheung Shui Station)からミニバス55Kに乗車し、ターミナル(總站)で下車 ③ MTR藍田駅(Lam Tin Station)から277Aバスに乗車 注)上記バスルートは特定の時間帯のみ運行しています。運輸署からの運行に関するお知らせはこちら(英語)でご覧ください。 沙頭角発着バスの最新情報はこちら(英語・中国語)にてご覧いただけます。
いかがでしたか? 日本人観光客はおろか、香港人の多くもまだ行ったことがないエリアです。 新たなツアーの企画造成に是非お役立てください。
香港政府観光局 沙頭角への日帰り旅行(英語・中国語): https://www.discoverhongkong.com/eng/explore/discover-sha-tau-kok.html 香港特別行政区プレスリリース 沙頭角開放計画第二段階(英語・中国語): https://www.info.gov.hk/gia/general/202312/18/P2023121500701.htm?fontSize=1 香港警察 ツーリズム・クローズド・エリア・パーミットオンライン申請(英語・中国語): https://www.es.police.gov.hk/eserv-online-portal-ui/#/pages/e-services-application-forms/10 |